心の問題に焦点を当てたサーノ博士

こころ

慢性腰痛の原因は脳が作り出す筋肉の緊張

サーノ博士とは、ニューヨーク医科大学臨床リハビリテーション医学科教授のJ・E・サーノ博士です。
サーノ博士は色々な痛みを起こす原因となる正体を「緊張性筋炎症候群(TMS・・・Tension Myositis Syndromeの略)」と名づけました。
TMSは心因性の疾患です。
博士自身このTMSを患ったことで、TMS理論を打ち立てるに至ったと言っています。

そしてTMS理論に基づく治療は順調で、抑圧された憤怒が原因だとはっきりしているケースがほとんどであると述べています。

何より大事なのは「TMSは痛みを伴う筋肉の変化であり、無害である」と博士が言い切っていることです。

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サーノ博士による痛みの治療三原則

このTMSをサーノ博士はどのように治療し、痛みを取るのかということをまとめてみました。
博士はこの方法で治療に訪れた患者を治療してきました。

治療

身体的要因を否定すること

この意味は、たとえば腰痛があった時に医者に行くとします。
検査の結果、X線撮影やCTスキャン、MRIで見つかったホンの少しの骨のズレや股関節の傾きはそれ自体、異常ではないと理解することです。
それらは、動作や老化にともなって発生する正常な変化にすぎないものがほとんどです。

そのことが原因で痛みが起こるということは殆ど無いこともわかっています。
実際には、椎間板ヘルニアが見つかっても(MRIでヘルニアが認められても)痛みが無い人は多く存在しているといわれています。

具体的に言うと今起こっている痛みと、その時に発見されたズレや傾きとはほぼ関係ありません、ということです。

心理状態を認識すること

TMS理論によると、脳は必死に無意識下の憤怒から注意をそらそうとします。
これは反射的な反応であり、理論や理性とは無関係だということです。
この無意識下の反射的な反応に、意識的な思考プロセスを使って働きかける。

わかりやすく言えば、自分の痛みの原因となっているだろう憤怒から目をそらさず意識的に、必死に向き合うということでしょうか。

脳が無意識に避けようとしている問題(憤怒)を認める。
言葉を変えれば、自分の中にある抑圧された憤怒を掘り起こすことともいえます。

その心理状態を受け入れる

博士の言葉を借りるとこういうことです。

わたしたちは自分にこう言い聞かせなくてはならない。「今のままの自分でいい。かんしゃく持ちの子供のように非論理的で、無意識に激怒してもかまわない。それは人間として当たり前のことであり、誰もがそうなのだから」と。J・E・サーノ著「心はなぜ腰痛を選ぶのか」179ページ

ここで大事なことは、痛みの原因になっている問題点を解決しないと痛みはなくならないということではなく、その状況をそのまま認め、ありのままに受け入れるだけでいいんだよ、ということだと思います。

治療の目的を達成するために行う4つのこと

サーノ博士はさらに治療の方法として4つの具体的な方法をあげています。

1.感情と向き合う

痛みは、感じたらいつでもその奥には抑圧された憤怒があると意識し、その理由を考えるようにとサーノ博士は言っています。
脳は、憤怒の代わりに痛みを感じさせているので、逆を行くわけです。
「脳に対する反撃であり、脳の戦略を無効にする攻撃である」とも言っています。

自分の敵は自分なんですね、というか、無意識の力って良くも悪くもすごいですね。

2.脳に話しかける

博士は著書の中で、ばかばかしいような方法ではあるけど、これはたいへん効果的な方法だと述べています。
意識の心が無意識の心に話しかけるということで、力強く話しかけるほど、効果も大きいということです。
具体的には

「自分の脳に向かって、何が起きているのか承知している、身体の痛みは無害であり、抑圧された憤怒から注意をそらす役割を果たしていることはわかっている、もはや注意をそらすつもりもないし、脅しに乗るつもりもない、と話しかけるのだ。」J・E・サーノ著 「心はなぜ腰痛を選ぶのか」181ページ

という感じです。
私は、自分で自分の脳に向かって「お前には負けないぜ!痛みより怒りだ!」と穏やかに宣戦布告することだと理解しました。

戦う

3.ストレスリストを作成する

生活の中で苦痛に感じていることを全て書きだそうと博士は提案しています。
そうした自分が感じている苦痛が、どれも内的な憤怒の原因になっているということですが、プレッシャーなどもそれに入ります。

最近のことだけでなく、幼い頃から持ち越している怒りも書きだす必要があるということです。

患者のひとりから、こういった行動でトラブルや問題をあぶり出すことが状況を悪化させるのではないかと博士は訊ねられますが、逆にそういったトラブルや問題が心に与える影響を認識していないことで、TMSが発症するのだと答えています。

書く

4.内省的な時間、もしくは瞑想の時間を毎日もつ

日中、仕事などで忙しくしている人ほど、この時間を確保することが必要だということです。
その日々の多忙な状況を改善するにはどうしたらいいか、何が必要なのか、を独りで静かに考える時間を設けることが治療の一環になるということです。

 

治療の最終目的は無意識下の心の反応を変化させること

心理状態に対する無意識下の心の反応を変化させること、それが達成された時、痛みは消える。

と、博士は言っています。この部分でいくつか大事なことを言っています。、

  • 治療はいわゆる予防法であって、対症療法ではない。この変化によって、これから生じうるどんな痛みも止める。
  • 情報を使って症状を逆転させるやり方なので時間がかかるし、根気や忍耐が必要。
  • 痛みは数週間で消えるが、恐怖心を取り去るには、はるかに時間がかかる

ここで言う恐怖心とは、

  • 過去にある動作をすると痛みがあった
  • 医者からこうした動作はやめるように言われた
  • 柔らかすぎるイスは腰痛を悪化させるから避ける

などの動作制限など、痛みを感じていた時の過去の記憶が脳にインプットされ、痛くなる原因を克服した後も痛むのを恐れてなかなかその動作が出来ないなどの動作恐怖のことです。
サーノ博士はこれについてこう話しています。、

「恐怖心を抱くこと無く、元どおり身体を動かし始めるには、ゆっくり進むことだ。順調に進まなくてもかまわない。開始を急ぎすぎて多少痛みを感じても、気にすることはない。身体が傷つくことはないからだ。TMSは良性の疾患である。身体を動かすと痛みが続くのは、脳がまだ条件づけを変更している最中だということだ。」J・E・サーノ著 「心はなぜ腰痛を選ぶのか」183ページ

そのあとにこうも言っています。

「ただ、身体を動かし始める時期は早すぎてはいけない。身体が傷つく可能性があるからではない。脳がまだTMSモードに条件づけされているからだ。TMSの診断を受け入れてから数週間は待ったほうがいい。その頃には痛みが減少し、自信も高まっているだろうし、脳はそれまでの時間を使ってプログラムを改めているはずだからだ。」J・E・サーノ著 「心はなぜ腰痛を選ぶのか」183~4ページ

歩く

痛みが消えるメカニズム

これらの身体的要因を否定し、心理状態を認識して受け入れることでなぜ痛みは消えるのか。

サーノ博士の理論で重要な事は痛みの目的は何かということです。
それは、抱えている問題やそれにともなって生じる怒りなどの感情から脳が注意をそらし、身体に意識を集中させるために痛みを生じさせているということです。

あえてその感情に向き合うことによって、脳は痛みを生じさせる意味を失い、痛みも消え失せるということです。

サーノ博士の読書療法とは

読書

本を読むだけで痛みが消えるという不思議

「サーノ博士のヒーリング・バックペイン」という書籍があります。
この書籍を読むことで腰痛のつらい日々から解放された、医者からすすめられていた腰の手術を受けなくてもよくなったなどの手紙がサーノ博士に届き、その一部が本のおわりの方に掲載されていました。

その中の一人の患者さんが、自分が腰痛を治したやり方を友人のために考えたという治療法のことが載っていました。

  1. 毎日「サーノ博士のヒーリング・バックペイン」を30ページほど真剣に、書いてあることをじっくり考えながら読む。1ヶ月ほどはくり返し何回も読む。
  2. 毎日、自分の何が問題で痛みを引き起こしているのかについて時間をさいて考える。問題だけではなく、感じるプレッシャーや細かいところまで具体的に考える。それらを出していったら、それを2つに振り分ける。自分でなんとかできそうなこととそうでないこと。その問題に対しては、なくそうとしなくてもいい、受け入れるだけでいい。なぜ痛みが発生するのか、そのプロセスに気づくことが大切なこと。
  3. 一日の中で、痛みを覚えるとき、自分自身にその痛みの原因は何か問いかける。そして何が原因でも腰痛を引き起こさせるわけにはいかない、と自分に向かって言い続ける。
  4. 以上の取り組みを3,4週間続けたら痛み具合や改善点などのチェックをする。焦ってはいけない。小さな前進でいい。
  5. 絶対にあきらめてはいけない。時間がかかるのは覚悟して、希望を持って続ける。

意識を変えることで痛みをなくす

脳

私にも、腰痛ではありませんが、気になる原因不明の痛みがあります。
もう何年越しですか、というくらい前からです。
とても気になるので、過去に婦人科や内科など、なん箇所かの病院で診察や検査をしてもらいましたが、結局原因はわかりませんでした。

だんだん痛みがひどくなってくるとか、範囲が広がるとかそういうことはないのです。
はじめは左横腹でしたが、最近は右側です。
ただ疲れた時とかにふと思い出したように痛む、そんな感じです。

もしかしたら私にも抑圧された憤怒があり、無意識下で痛みを起こしているのかもしれません。
TMSかも・・・治療法をやってみようと思います!

本の帯にかかれていた「あなたを痛みから解き放つ本」という言葉に釘付けになりました。

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